県税事務所勤務時代、確定申告時期に入ると応援として確定申告会場に出向いていました。業務は申告書作成補助であり、e-Taxへのデータ入力のサポートを行うのですが、多くの人が待っていることもあり、納税者によっては代わりに直接入力することがありました。
その時、医療費控除の申告に来たところ還付税額が思っていたより少ないと言われる方が毎回数人はいたように思います。確定申告会場は時期によっては大変混み合いますのでずいぶん待たされることがあります。また、駐車料金や交通費がかかる場合もあります。大量の領収書を集計してやってきたのに還付金がない又はごく少額しかない、落ち込む気持ちはわかります。
想定と違う、その理由の一つとして確定申告時期にテレビや雑誌で煽られすぎていたことが挙げられます。医療費控除の確定申告をすることが大変お得であるとだけ紹介し詳細を説明しないため誤認させるような記事が少なくないと思います。
医療費控除のポイント
1.源泉徴収票の所得税額を確認すること
この額が還付額の上限です。どんなに医療費がかかってもこれ以上の所得税額は返ってきません。もし所得税額がゼロであればそもそも還付はありません。
2.所得税の税率を確認すること
所得税は累進課税を採用しています。最初の課税所得195万円までの税率は5%ですので、復興特別所得税を考慮しなければ所得税額は9.75万円です。つまり約10万円より所得税額が低い場合、還付金は医療費控除の額(注1)の5%です。
ところで、住民税にも医療費控除があります。住民税は医療費控除による還付がないので案外気づかれていないのですが、住民税所得割の税率は10%ですので、所得の多い人でなければ所得税より節税効果は高いです。昔、確定申告会場で還付金が少額で落ち込まれた方にそう言って慰めたことがありました。なお、税務署に確定申告した場合、住民税の申告は不要です。
さて、医療費控除のためだけに確定申告を行うかどうかは皆さんの判断によります。確定申告を行うことに費用対効果を求める場合は確定申告しない選択もあり得ますので、まずは試算してみることをお勧めします。国税庁のホームページの確定申告書作成コーナー(注2)での試算が正確ですが、対象年を確認の上、利用してみてください。但し、住民税分はこれではわかりません。
注1 医療費控除は、10万円を超えた額に該当する税率を乗じた額と知られていますが、所得200万円以下の方は、所得の5%を超えた額に5%を乗じた額が医療費控除の対象となります。
注2 ブログ掲載時点(R7年11月中旬)では、令和7年度分はホームページ未掲載です。
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